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山田風太郎『魔界転生』ネタバレレビュー!

や行の作家
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始めに

始めに

山田風太郎『魔界転生』についてレビューを書いていきます。

語りの構造、背景知識

残酷時代劇

 風太郎は戦前からベタな文学好きで、芥川龍之介(『地獄変』)や鴎外(『阿部一族』)その背景となる象徴主義(リラダン)などからの影響が顕著です。

 本作もそうした先達のようなグランギニョルな時代劇を展開していきます。

制度と人間(鴎外)

 本作も鴎外『阿部一族』のような、組織や制度の中での実践や、そのなかにおける悲劇を展開する内容になっています。

 またこうしたデザインは英米のスパイ小説の影響をうかがわせ、組織の不条理に翻弄されるキャラクターの姿を描きます。

召喚魔術。ゾンビ

 本作品はゾンビとして過去の死者を召喚して戦わせるという召喚魔術を用いた戦法が描かれます。本作品の召喚魔術によるバトルはその後、岸本『NARUTO』の穢土転生やfateシリーズなどへと継承されていきますが、本作はジョジョシリーズ(1.2.3.4.5.6.7.8)と並んで、このギミックにおけるパイオニアの一つです。

 本作はゾンビものでもありますが、ジョージ=ロメロ以前のブードゥーゾンビであることが特徴的で、今となっては逆に新鮮です。

本作の召喚魔術の特性

 本作の召喚魔術はジョジョシリーズ(1.2.3.4.5.6.7.8)のようにそれぞれのエージェントが任意に特定の存在を召喚できるようなデザインではなく、ごく限定的なキャラクターが召喚魔術によるゾンビを駆使し、それと主人公が戦うという構図になっています。召喚される存在同士を競わせるものではありません。

 本作はこうした召喚魔術によって、異なる時代を生きた伝説的な武将と主人公・柳生十兵衛を争わせています。一方で召喚される対象が武将であるため、忍術のような絡め手を基本的に使うことがなく、そのため忍法帖シリーズにあるアクションのデザインやバリエーションの機知を味わいづらいです。最近の『BORUTO』などと同様に、アクションが体術、剣術縛りになっています。

物語世界

あらすじ

 森宗意軒と出会った由比正雪は、紀州の徳川頼宣と江戸幕府、将軍徳川家光の天下を奪う企てを進めていました。森宗意軒は忍法「魔界転生」によって、剣豪を意のままになる部下として生まれ変わらせます。これは並みはずれた技量と生の欲求を持つ人間が、死の直前に愛しい女性と交わることで、新たな肉体を持って生まれ変わる忍法でした…。

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