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キング『呪われた町』解説あらすじ

スティーブン=キング
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はじめに

キング『呪われた町』解説あらすじを書いていきます。

語りの構造、背景知識

キングの作家性

 キングは多くの作家から影響を受けていて、『書くことについて』においてそれを語っています。

 チャンドラー、ハメット、ロス=マクドナルド、T=S=エリオット、ウィリアム=カルロス=ウィリアムズ、リチャード=マシスン、レイ=ブラッドベリ、ジョセフ・ペイン=ブレナン、ジェイムズ=M=ケイン、 ジャック=フィニー、グレアム=グリーン、エルモア・レナード、ジョン=D=マクドナルド、ドン=ロバートソン、トーマス=ウィリアムズなど、さまざまな作家からスタイルを組み立てました。

 チャンドラーのクラシックなスタイルの作りはキングに継承されます。

吸血鬼もの

 ストーカー『ドラキュラ』を読んだ人なら感じると思いますが、本作は『ドラキュラ』の影響が顕著です。

 海外から侵略してくる吸血鬼と主人公たちとの戦いを描きます。

 他方で『ドラキュラ』を特徴づける書簡体小説のスタイルによる非線形の語りは本作では設定されず、『キャリー』でそうしたスタイルが展開されます。

 傾向として吸血鬼との戦いと主人公たちの心理をリアリスティックに描く作品のコンセプトから、書簡体小説のスタイルで迂回して恐怖を演出する手法よりも、異質物語世界(三人称)により複数の人物を焦点化するデザインがとられたと思われます。

物語世界

あらすじ

 プロローグは、物語の終わりの少し後で、主人公のベン=ミアーズとマーク=ペトリーがメキシコの海辺の町に行き、本編の事件立ち直ろうとしています。マークは地元の司祭にカトリック教会に受け入れられ、自分たちの体験を告白します。

 作家のベン=ミアーズは、次の小説を書こうと、25年ぶりにメイン州セイラムズ=ロットに戻ってきます。ベンはすぐに高校教師のマット=バークと友達になり、町を離れることを夢見る若い大学卒業生のスーザン=ノートンと恋愛関係になります。

 ベンは、長い間放置されていたマーステン=ハウスについての本を書くために「ロット」に戻ったのでした。ベンは、子供の頃、首を吊った幽霊を見ました。ベンは、大恐慌時代の殺し屋ヒューバート(「ヒュービー」)・マーステンがかつて住んでいたその家が、オーストリアからの移民でロットにやって来てアンティーク家具店を開店したという理由でカート=バーロウに購入されたことを知ります。バーロウは長期の買い付け旅行をしているそうで、公の場に姿を見せるのはビジネスパートナーのリチャード=ストレーカーだけです。実はバーロウは古代の吸血鬼で、ストレーカーは彼の人間の使い魔でした。

 二人が到着したころ、少年ラルフィー=グリックが失踪し、12歳の弟ダニーが死亡します。ダニーはバーロウによって吸血鬼に変えられた町で最初の人間になります。バーロウは町のゴミ捨て場管理人のダッド=ロジャースと電話修理工のコーリー=ブライアントも吸血鬼にします。

 ダニーは墓地掘りのマイク=ライアソン、生まれたばかりの赤ん坊、ランディ=マクドゥーガル、ジャック=グリフィン、ダニーの母親のマージョリーなど、他の地元の人々も吸血鬼にしますが、クラスメートのマーク=ペトリーはダニーの顔にプラスチックの十字架を突きつけて抵抗します。

 ベンとスーザンは、吸血鬼と戦うため、マット=バークと彼の主治医のジミー=コーディ、マーク、そして地元の司祭のキャラハン神父と合流します。しかしスーザンはバーロウに捕らえられ、吸血鬼にされます。

 キャラハン神父とマークがマークの家を訪れると、停電が起こり、バーロウが現れます。マークの両親を殺し、バーロウはマークを人質にします。キャラハンは十字架を取り出して追い払おうとするものの、キャラハンはバーロウに圧倒され、血を飲まされてしまいます。するとキャラハンは教会に入ろうとしても、入れなくなりました。敗れたキャラハンはセイラムズ・ロットを去ります。

 マットは心臓発作を起こして亡くなり、ジミーは仕掛けられた階段から落ちてナイフの罠に刺されて死亡します。ベンとマークはバーロウを倒しますが、リーダーを失った吸血鬼たちを残して町を去ることになります。ベンは翌日、マークの両親とジミー=コーディの遺体を回収し、ペトリー邸の裏の空き地に埋葬するために戻ります。

 エピローグでは、 2人が1年後に町に戻り、再び残りの吸血鬼たちに戦いを挑むことが明かされます。ベンは、町を破壊しようと近くの森で山火事を起こすのでした。

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