始めに
鮎川哲也『りら荘事件』ネタバレ解説を書いていきます。
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語りの構造、背景知識
便乗殺人トリック、アリバイトリック
本作は便乗殺人トリックとアリバイトリックがトランプを利用して展開されます。
最初の殺人は実は殺人ではなく事故死ですが、トランプのAという痕跡が犯人に残されることで、連続殺人に偽装します。
また、犯行のさい、Aから順に2.3…と、トランプのカードが犯行現場に置かれているのですが、これは実は犯行の順序を偽造するためのもので、現場に置かれたトランプの順序に従って殺人が展開されるわけではありません。『首吊り学園殺人事件』でも用いられたトリックです。
動機
星影から事件の全貌が説明されますが、元々殺害のターゲットになっていたのは橘と紗絽女で、犯人は尼リリスです。
リリスは浮気を婚約者である牧にバラされることを恐れ口封じしようとして、芋づる式に口封じの対象が増えていき、最終的に鉄子が尼を報復に殺した、という展開になっています。
特殊な凶器
本作ではヒ素が凶器に使われています。
微量のヒ素を継続的に摂取することで、耐性を上げ、自身もその毒薬を含んだ飲み物を飲むことで嫌疑から逃れるトリックが展開されています。
物語世界
あらすじ
秩父にあるライラックの花に囲まれた学生寮(通称・リラ荘)に避暑のため芸術大学の学生7名がやってきます。
翌日、リラ荘そばの崖下で地元民の遺体が発見され、傍にはトランプのスペードのAが置かれていました。
そしてスペードの2が郵便受けから見つかり、第二の殺人があります。
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